いびつな三角形【幻想/闇】

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いびつな三角形【幻想/闇】

 その昔、魔女には3匹の使い魔がいた。  ヘビとカエル、ナメクジ。彼らに特別な力があった。  魔女が処刑される少し前、3匹は人間の姿を与えられた。  人間たちの手によって処刑が行われ、3匹改め3人は袂を分かつ。  カエルは魔女の仇を取り、王となった。  ヘビはそれを見守ったあと、旅に出た。  ナメクジは我関せずと姿を消した。  ヘビは感情を食べる。  激情を好み、受け止めながら食べていく。   悲しみも憎しみも喜びも全て平等に食べるので、ヘビの傍には感情を一切失った人間が出来上がる。  故に、一人に執着することが出来ない。  カエルは記憶を食べる。  人の記憶を食べないと成長できない。  記憶を食べるのをやめてしまうと、退化していってしまうため、人々の記憶を食べ続けなくてはならない。  ナメクジは傷と痛みを食べる。  痛みをを食べた分だけ若さを保てる。  ただし自分の傷は癒すことが出来ない。そのため自分の血を見ると発狂してしまう。  エレノアは、カエルの子孫だった。  王族の末っ子だった彼女は、カエルと同じ能力を持って生まれた。  人々の記憶を食べ続けなくては生きられない特異体質のせいで、彼女の存在は秘匿された。  一番上の姉が嫁ぎ、二番目の兄が王位についた日、悲劇は起こる。  王宮に入り込んだ逆賊の手によって、その場にいた王族は虐殺された。  ただひとり、エレノアを除いて。  これは、ひとりの少女が自分と同じ魔女の使い魔の子孫と出会い、生きる意味を見つける物語である。 ********* 『苦しい。苦しい?』 https://estar.jp/novels/25752820 『アンバランスなトライアングル』 https://estar.jp/novels/25753786 上記、二作品に登場するエレノアたちの設定を含めた小話。 マフィア、暗殺部隊等、作者の趣味全開です。 トライアングルは三竦みの他に、三角関係も意味しているのですが、恋愛というよりは執着な感じの重い思いが向けられています。
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