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雪が降って来たから急いで本屋さんに入ると目当ての本は店の入り口の新刊コーナーに並んであったから直ぐ見つかったワン。
「これを買って、後はスーパーに行って…ん?」
レジに向かう最中に通りかかった雑誌コーナーに“ねぇそこの貴方、女子力大丈夫ぅ?”と妙にイラっとする文字がばっちりメイクした渡辺直美ちゃんが表紙になってる雑誌に書かれてあったのを見つけてしまいつい足が止まってしまったらしいワン。
「イラっとする…イラっとするけど…何か惹かれる!!」
え"ぇ" 何でなんだワン?
内心物凄く腹が立っているくせに苛立ちを引き出して来るその雑誌をわざわざ手に取っているフミちゃんが理解出来ないワン!
「またのお越しをお待ちしておりま〜す!」
あーあー買っちゃたワン…。
文庫本と買う予定の無かった雑誌が入った紙袋を胸に抱え店の前でフミちゃんは呟いた。「何で買ってしまったんだろう…」と。
だから何で買うの?って私言ったじゃないかだワン。…いや人間語喋れないから伝わってるわけないんだけど…。
「……渡辺直美ちゃんは好きだけど“ねぇそこの貴方、女子力大丈夫ぅ?”には腹が立つ…」
だから何で買ったワン?
「…それなのに買ってしまったと言う事はちょっとは気にしているからと言うのもあるからかもしれない…。しかしこれを家に持って帰って部屋でコソコソ読んでいるのを私が留守の間に何か用があって部屋に入って来た家族の誰かが見つけたら何て思うんだろう?
お母さんは同じ女だからきっと心の中に納めて見なかった事にしてくれるかもしれないけど万が一心配性のお父さんに見つかったら…
『ふふふ史未っ!好きな男でも出来たのか!?お父さん聞いてないぞ!?何処の誰なんだその男は!?どんな奴なんだ!?優しいのか!?えっ!?どうなんだ!?』
って渡辺直美ちゃんの表紙の雑誌を丸めて持って慌てて私の所へ駆けて来るに違いない…。そして私がはっきり答えるまで質問は永遠に続き…………絶対めんどくさい事になる!!渡辺直美ちゃんには悪いけどブックカバーでも被せて本棚に仕舞っておかなきゃ!!」
独り言が長いワン。もうそんなに心配ならさっさと本屋に返しに行けば良いワン。
「ねぇ夕飯何が良い?」
「そうだなぁ…ハンバーグかな?」
「じゃあハートの形にしてあげるぅ♡」
ブックカバー用に帰りに100均で包装紙を買って帰ろうと思って歩き出そうとしたらさっき見かけたあのバカップルがまた私達の目の前を通り過ぎて行ったワン。
「さっきから何なのあの人達…彼氏居ない私に嫌がらせ?」
1人で悪かったですね!?みたいな気持ちが顔に出すぎてる嘘が苦手な正直者フミちゃん。
バカップルの背中に「早く居なくなれ〜早く居なくなれ〜」と文句と言う名の呪いをぶつけてると仕返しのように2人はフミちゃんの目の前で軽くキスをしたワン。
「きーっ!!絶対嫌がらせしてるに違いないわ!嫌な奴!嫌な奴!」
耳をすませばの雫ちゃんみたいになってるワン。と言うかそんなにムカつくならフミちゃんがさっさとこの場から立ち去れば良いだけなんじゃないか?だワン。
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