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「嫌いじゃないけど何か悲しくなってきた…どんな歌詞なんだろうって同じクラスのよっちゃんと一緒に訳さなきゃ良かったな…」
訳したんかい、だワン。
「知らないままの方が良い事あるってこう言う事か…とほほ……」
フミちゃんはため息ついて歩道橋の手すりに腕を置くとその中に顔を埋めたワン。
フミちゃん元気出してだワン!「く〜ん」と前足でフミちゃんの顔をつついているとぽんぽんと肩を叩かれて「お1人ですか?」と男性の声に尋ねられたワン。
ー何よ、誰よ?こんな時間に女の子が1人で居るしクリスマスってのもあるから大方究極に寂しがった人が適当にこいつで良いやって声をかけてきたに違いないわ。クソ男どっか行け!ぶっ殺すぞコラ!?
酷っどいワン…。ずっと1人きりで放ったらかしにされた女の子の末路みたいな口叩き出し始めたワン…こんなフミちゃん嫌だワン…。
「すみません、母が下で車で待ってるので…」
フミちゃんが顔を上げると「にゃあ!」と可愛らしい小さな肉球がフミちゃんの鼻先をちょんっとやんわり叩いて来たワン。
びっくりして目を開くと見た事あるさび猫が私達の後ろに立っていた人に抱っこされていたワン。
ー…嘘……まさか……!?
声をかけてかた相手の顔を見上げると「こんばんは」と微笑む季優君と愛猫のにゃん太君が居たワン。
「あっ愛屋君……どうして…!?」
「イルミネーションを観に来たんですよ。テレビでは何度も観た事ありますが直接観た事がなかったのでね。野々口さんはお買い物ですか?」
「う、うん…夕飯の買い出し……」
「それはそれは寒い中お疲れ様です」
「にゃあおん」
「おやまぁ、にゃん太君もお疲れ様って仰ってるみたいですよ?ふふっ」
ー ど、どどどどうしようっ!?まさかこんな所でこんな格好な時にばったり会うなんてこれっぽっちも思ってなかったからドキドキを抑えるので精一杯で愛屋君の声が何にも聞こえてこないっ!!
「それで僕達ついでに美味しいと噂のパン屋さんで帰りに買って行こ……」
ー って言うか何で愛屋君今日に限って髪下ろしてるのっ!?私服だしっ何か眼鏡かけてるしっ!!えっ誰この人!?本当に愛屋君なの!?愛屋君で間違いないけどもっ!!
「グラタンパンが有名らしいんですが普通の食パンが1番人気とかで……」
ー えーっ!?愛屋君男の子だけどストールかける派なんだ…え、かわゆす……え、大判ストールとかかわゆす…え、ちょっと待って写真撮りたいんですが?と言うかにゃん太君席代わって!
落ち着けだワン。そして煩い。
「にゃっくしっ!」
「おやにゃん太君風邪引いたんですか?」
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