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それから毎年、ソレがすっかりクリスマスの恒例行事になっている。
けれど、どうせ消える男を待つなんてバカな真似、本当はもう止めたい。
だから優しくなんてしないで欲しい。
優しく俺に触れないで。
優しい言葉を囁かないで。
でも……
嘘でもいいから「愛している」と言われたい。
「置いてかないよ」と約束して欲しい。
嘘でいいから。
嘘でもいい。ひと時の夢でいい。
いや、そんなのウソだ。それならいっそ手酷く捨てて欲しい。
ううん。やっぱり嘘でも愛が欲しい。
この男に会うと、その狭間でいつもズタズタに身が引き裂かれる想いがする。
だからクリスマスなんて大嫌いなんだ。
隠したい本音が溢れて止まらなくなる。
いったいこの男は何人にこんな酷い事をしているんだろう?
「ダイキライ!!」
俺はミナミの胸元をポカポカと叩きながらそう叫んだ。
「ごめんね。泣かないで」
まるで幼子でもあやすようにそう言ってミナミは俺を抱き締めた。
「嫌だ!ヤメロ……!」
「……しがみつかれながら言われてもなぁ」
嬉しそうにクスクス笑うミナミの声が頭上に響く。
ミナミに愛しいものみたいに扱われる度、嬉しさと苦しさで心臓が潰れそうに痛くなる。こんなウソツキ、信じたら駄目なのに。
どうせまた、明日になったら消えるんだ。
サンタなんて大嫌いだ。俺が本当に欲しい物なんて、一度だってくれたことがない。
それを知っていて、毎年律儀にサンタの格好をしてくるコイツの気が知れない。あの格好を見る度に、それが一夜の夢だと思い知らされる気分がする。
「────っあ」
形ばかり抗う俺の中に、容赦なくミナミが入ってきた。そのまま深く深く口付けられ、脳みそが溶けそうな感覚に襲われる。
「ヤッ……ヤダッ……」
「ヤじゃないでしょ?」
そう言ってのける自信満々な微笑みに、抗いきれずに惹かれる自分が悔しい。
「ココ突かれるの好きだよね?」
「好きじゃ……ないっ」
「ナカは素直にキモチイイって吸い付いてくるのにね……」
「っるせ……!んっ、この……エロ、ジジぃ……っ」
「かなちゃんがエロ可愛いから仕方ないよね」
俺の悪態を気にする素振りもなく、ミナミは甘く激しく俺の弱いトコロを突いた。
「ひっ……ぁんっ……やっ」
「うん、キモチイイね……」
「良く、ないっ……」
「うんうん……」
相変わらず俺が何を言ってもミナミは顔色一つ変わらない。どうしたらこの男の眉一つでも動かせるのか、俺の口は年を経るごとに素直じゃなくなっていった。
いつも、ミナミはまるで子供でもあやすように俺を抱く。そんなに年が違わないであろうこの男にとって、俺は一体どんな存在なんだろう。
もちろん怖くてそんなこと訊けないけれど。
「あっ……あぁっ──────っ!!」
この熱を一年待ち続けた体は、あっけなく一度目の絶頂を迎えた。
「やっぱりかなちゃんは最高だなぁ」
自分も俺の中で果てると、ミナミは汗に濡れた髪を掻き揚げ、そう言って笑った。
「バーカ」
せめてもの抵抗で俺が背を向けると、そのまま後ろから抱き締められた。
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