3. フェリー乗り場

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 やがてチャラ男は待合所に来た若い女の子達を口説き始めた。まだ吐き気と頭痛は止まない。  不意に戸が開き和服姿の40代位の女性が現れた。凛とした色白で小柄な女性だった。黒髪を後ろで纏めている。 「田端さんと辰巳さんですか?」  女性の声でピンときた。予約の電話対応をしてくれた人に違いない。 「そうだよーん」と額ピースで答えるチャラ男。     女性は微笑んだ。 「潮騒荘女将の叶律子です。夕飯の時間になっても来ないので、心配で迎えに来たんですよ」  久しく母と妹以外の女性と接していなかった私は、極度に緊張した。 「遅れてさ〜せん! 彦りん行くよ!」  重い体を引きずり外に出る。まだ回復していないが叶さんと会い力が漲った。心臓が高鳴りときめいている。久しぶりの感覚だった。  律子さんに促され、駐車場のマイクロバスに乗り込んだ。
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