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8時に自動車学校行きのマイクロバスがきた。
後ろの席に座ると遊星も横に座る。次にあの女子二人が乗り、最後グラサンが現れた時は心臓が止まりかけた。彼も同じ教習所に行くとは。
「グラサンの人、ここ空いてるよ!」
遊星の台詞に凍りつく。余計なこと言うな遊星。蟹の餌になるぞ。
グラサンは無言で私の前に座る。
バスが走り出す。
「どこの人?」
遊星は物おじせず声をかける。
「東京だ」とグラサンが答える。
「マジ? 俺神奈川だから近いじゃん!」
「私達千葉〜!」とギャルが手を上げる。
「彦りんはどこ?」
「東京です」
「へー、二人仲間じゃん!」
グラサンはニコリともしない。イェーイ! とハイタッチするようなノリではとてもない。
バスは林檎農園の脇の坂を登り、やがて山に囲まれた旧校舎が姿を現す。HPの写真と同じ建物だ。緊張で胃が痛い。
「あれ教習所? ボッロ!!」と遊星。
「旧小学校を改築したらしいよ」とギャル。
やがてバスが教習所前に停まった。
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