5. 教習初日

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 8時に自動車学校行きのマイクロバスがきた。  後ろの席に座ると遊星も横に座る。次にあの女子二人が乗り、最後グラサンが現れた時は心臓が止まりかけた。彼も同じ教習所に行くとは。 「グラサンの人、ここ空いてるよ!」  遊星の台詞に凍りつく。余計なこと言うな遊星。蟹の餌になるぞ。  グラサンは無言で私の前に座る。  バスが走り出す。 「どこの人?」  遊星は物おじせず声をかける。 「東京だ」とグラサンが答える。 「マジ? 俺神奈川だから近いじゃん!」 「私達千葉〜!」とギャルが手を上げる。 「彦りんはどこ?」 「東京です」 「へー、二人仲間じゃん!」  グラサンはニコリともしない。イェーイ! とハイタッチするようなノリではとてもない。  バスは林檎農園の脇の坂を登り、やがて山に囲まれた旧校舎が姿を現す。HPの写真と同じ建物だ。緊張で胃が痛い。 「あれ教習所? ボッロ!!」と遊星。 「旧小学校を改築したらしいよ」とギャル。  やがてバスが教習所前に停まった。
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