彼女と結婚したら♡

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(愛衣さんと結婚して新婚生活を送るとしたら、どんな感じになるんだろう?) 「あーあ。猿渡が余計なことを言うから、須藤課長が夢の世界に旅立っちまったじゃないか。仕事が手についてないぞ。遅くなるのが決定だろ」 「せやかて童貞上司にやっと恋人ができたら、次は結婚を考えるやろ。頭のいいこの人のことだから、それくらい考えていて、口答えされると思ったんや」 「猿渡、甘いな。この間も飽きがきたらどうしようって、夜の相談を高藤にしていたくらいだ。目の前のタスクをこなすことで必死なってる新人に、重役になる夢を見せるレベルのことを言ったぞ」  部下のふたりが白い目で見つめていることにも気づかずに、愛衣さんと結婚したときのことを妄想した。  昨夜の熱を引きずったまま朝がきて、隣で寝ている彼女を背後から抱きしめる。この間、高藤に教えてもらったワザを駆使すべく、形のいい耳の縁を舌先を使って舐めあげた。 「ぁ、あっ……」  感度のいい愛衣さんは、それだけで目が覚めるだろう。俺のやってることを目の当たりにして、頬を赤く染めるその姿だけでも感じてしまう。 「充明くんっ、朝からなにをして……」 「朝から、愛衣さんをかわいがりたくなっただけ。だって職場に行ったら、別々に過ごさなきゃいけないし、すっごく寂しくなる」  きっと愛衣さんは結婚しても、仕事を続けるだろう。会社と家庭の両方で、俺を支えてくれる気がするんだ。 「どこにいても充明くんとは、一緒にいられるのに?」 「確かに一緒にいられるけど、こうしてつながることは、絶対にできないだろう?」  濡れていないことがわかっているので、愛衣さんの大事なところに、俺のをくっつけるだけにする。 「ちょっ、なんでそんな大きなコトになって!」 「寝起きの愛衣さんが、かわいい声を出したから。耳をちょっと舐めただけなのに」 「充明くんが私の弱いところばかりを狙って、そんなことっ!」  俺は愛衣さんの苦情をとめるべく、首筋に舌を這わした。 「だめっ…朝からこんな、ことっ! 朝ご飯を作る…じ、かんっ」 「大丈夫。朝ご飯を作る時間くらい、夫の俺が把握しておく」 「あぁん、胸触っちゃダメっ」 「なんなら朝ご飯くらい、夫の俺が作ってやる。だからこのまま流れて」 「充明くっ……もっとして!」 「夫の俺――短い言葉なのに、なんていい響きなんだ」 「須藤課長~、いい加減に、コッチに戻ってきてくださいよ!」  松本の怒号で、ハッと我に返る。目を瞬かせた後で目の前を見たら、部下のふたりは呆れた様相で俺を眺めていた。 「ヒツジちゃんとの結婚生活に夢を見て、勝手にトリップしとったのはわかるけど、僕らを残業から解放したあとで、それをやってほしいんやけどなぁ」 「悪かった。結婚なんて考える余裕が全然なくて、いろいろ妄想してしまった」  すぐに謝って小さく頭を下げた俺に、松本がぼやくようにつぶやく。 「結婚までの過程は、妻帯者の原尾に聞けば教えてもらえる。ついでに、長続きする秘訣も聞けばいい。今は仕事に集中してくれ」  こうして優秀な部下から、いろいろアドバイスをもらった俺は、彼女の親への挨拶など難関を乗り越え、無事に結婚することができた。だからこそ、このあとは甘い新婚生活が待っていると思ったのに――。 「充明くん、なにを朝からイチャイチャしようとしてるんですか。そんな暇があるなら、自分の用意をちゃんとする! ほらネクタイが曲がってますよ。課長なんだから、しっかりしないと!」  なぁんて、家では尻を叩かれる始末。だけどそれも俺らしくていいと思ってしまう、今日この頃だった。 愛でたし♡愛でたし
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