菜々と真緒、ふたりの祝祭

6/6
5人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
「……ありがと」 「お、いいねぇ。その微笑み」  真緒がスマホカメラのシャッターを押した。写真の中の私は、どんな笑顔を見せていたのかな。 「ね、真緒。晩ごはんはここで食べない? もうお腹ペコペコでしょ」  思い切って誘ってみる。不思議と、真緒とクリスマスを祝いたい気持ちになっていた。 「おやおや、菜々さん。ハッピークリスマスオーラに感染しましたか?」  ニヤニヤ笑いの真緒。本心が読めない。 「あ、真緒はこういう雰囲気は嫌だっけ?」 「え〜どうして? 実は、マフラー買う時に、美味しそうなお店をいくつか見つけちゃってさ。私もすっかりクリスマスモードになっちゃいました。行こう行こう!」  照れ笑いを浮かべながら、真緒は私の手を引いた。 「な、何?」 「菜々さん、ちっちゃいから。手繋いでないとはぐれるよ」 「子どもか! そんなにちっちゃくないってば」 「いやいや、クリスマスに浮かれる奴らをナメちゃいかんよ。じゃあまずは、あのお店からね!」  意外とノリノリな真緒と手を繋いで、賑わうクリスマスマーケットへと足早に向かう。  美味しい食事の後は、私も真緒にクリスマスプレゼントを贈りたいな。ここには、可愛いお店もたくさんあるしね。  もしかしたら、今までの人生で一番のクリスマスイブになるかもしれない、そんな日曜の夜だった。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!