Fake 1 /「夫」の帰国…?

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バンケットルームの天井を見上げると、巨大なシャンデリアが怖いくらいにぎらぎらと輝いている。 だれもが憧れる街「SAKURAヒルズ」で、どこからでも見渡せるランドマークとして聳そびえるオフィスビル。 その五十七階にあるバンケットルームには、一階下の五十六階に入っている会員制VIPラウンジでウェルカムドリンクを飲んでいた招待客(ゲスト)たちがぞくぞくと入ってきていた。 その後、主催者(ホスト)による盛大な乾杯の唱和を経て、立食(ビュッフェ)スタイルのパーティが始まり、今はめいめいが最寄りのテーブルで歓談している。 大きくて細長いテーブルの上には、すでに銀の器に盛られた美味(おい)しそうな料理が所狭しと並んでいた。 温かいものは保温されていて、冷たいものは氷に囲まれている。 また、白木の大きなまな板がある所では寿司職人が寿司ネタの魚を捌いているし、大きな分厚い鉄板の脇ではコックコートの人が大きな塊のフィレ肉を切り分けていた。 さらに「うどん・そば」「ラーメン」と暖簾(のれん)の掛けられた屋台が設置されたコーナーからは、それぞれの出汁(だし)やスープの香りがこちらまで届いてくる。 「できたて」を提供する準備が着々と整えられているのがわかる。
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