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「おい、麗華。食ってばかりでいいのか?挨拶しに行かなくてもいいのかよ?」
ピークドカラーの黒のタキシードを着用した男が尋ねる。
少しクセのあるブラウン系の髪に、ぱっちり二重の赤褐色の瞳の彼は、まるで俳優かモデルがと見紛うばかりの超イケメンだ。
そんな彼が放つ、黒いタイと白いチーフのタキシード姿なんて、眼福以外の何者でもない。
「いいのよ、典士。
ただ夫の代わりに顔だけ見せてりゃいいのよ。
どうせ、政略&契約&偽装の結婚なんだから」
わたしはそう言って、切り分けられたフィレ肉の塊を口の中へ入れた。
——あ、やっぱりこのホテルのビュッフェパーティではこれを食べなきゃね。
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