「ねぇ......顔見せて?」

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「──咲っ?!」 冷たい......雪が頬に触れているようだ。 冷たい手で僕の顔は固定される。目線を反らしても視界に咲の顔が入ってきて僕の鼓動が速くなる。 「遊、もう一回言って」 「それは......」 好きな人に触れられて僕の心臓は爆発しそうだった。 「おねがい、言って」 真面目な咲の声。 僕は覚悟を決めるように、少し息を整える。そして、咲の目を見てはっきり伝える。 「好きだよ。咲のこと本当に好きだよ」 すると咲のうるんだ瞳から、雨粒とは違う雫が溢れた。声もなく、ただ幾筋もの雫が静かに流れ落ちてゆく。 僕はどうすればいいか分からずに、涙を流す咲を見つめてしまう。 すると咲は一歩前に足を踏み出した──。 そして僕の唇に人生で感じたことのない......柔らかく、そして潤った熱いものを感じた。顔にかかる咲の吐息。不慣れに重なる唇は灰色な雨の空を熱く色付けた──。 咲は物足りなそうに唇を離す。 「あたしも好き......大好き」 そう言うともう一度、咲は唇を近づける。 雨音が響く2人だけの公園に、一本の傘の下で雨に濡れないように身を寄せて、今度はお互いの凹凸を埋めるように唇を重ねた──。
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