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「なんだか、平和を守るヒーローみたいね」
『ヒーローですか? ボク、ヒーローになります!』
ボクは尻尾をパタパタ振りました。
『皆さんのお手伝いしたり、散歩中に見つけたお花やドングリをプレゼントしたり、ケンカを止めたりすれば、ヒーローになれますか?』
「そうね! コウらしくて可愛い……じゃなかった。ヒーローっぽくて、いいんじゃない?」
ナナさんが口に手を当てて笑っています。
なんだかナナさんが笑ってくれたので、ボクも嬉しくなりました!
ナナさんが、壁の時計を見て、あ……、と呟いた。
「いけない。時間が無くなっちゃう。そろそろ散歩に行こうよ」
そうでした!
早く出発しなければ、ナナさんの休憩時間も無くなってしまいます!
『はい! じゃあ、パトロールに行きましょう!』
「はいはい。パトロールね」
ナナさんがくすくす笑いながら、ボクにリードを付けてくれました。
ボクたちは『* HANABATAKE *』を出て、ナナさんがお店を閉めます。
商店街を抜けて、駅前大通りまで出てから左に曲がりました。
「はあ、暑くなったねー。そろそろ梅雨も明けるかな」
ナナさんが空を見上げて目を細めました。
つられて見上げると、空が綺麗に見えます。
ボクは視線を戻して、ナナさんの隣でトコトコ歩きながら、パトロールします。
今のところ困っている人や、お手伝いが必要な人はいないみたいです。
平和で何よりです!
しばらく行ってから、また左に曲がりました。
ここからは上り坂がしばらく続きます。
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