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これからもいっぱいっぱい役に立ちたいです
坂を上りきった所で振り向くと、ボクたちはボクたちの住む街を見下ろしました。
駅を中心に高いビルという建物が並んでいて、少し離れると緑の田んぼや畑、それからニンゲンのおうちが見えます。
この街は程よく活気づいていて、程よくゆったりした時間が流れているとナナさんはいつも言っています。
……ところでボク、少しでも役に立てたのかな?
そう思っていると、ナナさんがとびきりの笑顔でボクの首の辺りをぐしゃぐしゃっと撫でてくれました。
「コウ、お手伝いして、偉かったね~! ご苦労様~!」
ボク、しっかり任務を完了していたようです!
嬉しくて、ボクは尻尾を大きく振りました。
『ボク、これからもいっぱいっぱい役に立ちたいです』
「うん! ……でも、いつも癒されてるから、今でも充分役に立ってるんだけどね……」
『え? 何て言ったんですか?』
ナナさんの声が小さくってよく聞こえませんでした。
「ううん。何でもない! これからもよろしくね」
『はい! これから仲間になってくれる人……動物も集めたいです!』
「そ、そうなの?」
『はい! あ、ナナさん。パトロール再開しましょう』
「うん、そうね」
ナナさんがくすっと笑って、ボクたちは坂を下り始めました。
*****
こうしてアニマルヒーローは誕生した。
頑張れ、コウ。
これからも、この街の人々を癒すのだ!
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