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パセラ魔法学校の正門はどこ?
東の門にはドラゴンが
西の門にはユニコーン
南の門はフェニックス
北の門にはケルベロス
爾、その一歩から始まる長い道程
門の守護者からの祝福を授けよう
何れの門から入門したのか考えよ
爾の選択は既に始まっている
パセラ国立魔法学校には東西南北に一つずつ、四匹の聖獣が守る門がある。入学式の日、それぞれの門に同じ言葉が書いてある銅板が掛けられ、入学者を歓迎している。
東西南北門は、自分の意思ではたどり着けない。
新入生が学校までやって来ると、自動的に東西南北に振り分けられる。
振り分けは守護聖獣たちが行っていると囁かれているが、実際には誰が振り分けているのか、振り分け方法は、誰も知らない。
魔法都市パセラには、国立魔法学校があり、10歳から17歳までの生徒が通っている。
パセラ国立魔法学校は善良で優秀な魔法使いを幾人も輩出している。
賢人と言われ、呪文など全ての魔法言語を管理する魔法文官の長官である、ナザ・キロア。
同じく賢人と呼ばれる、魔法文官副長官のサリナード・キシン。
そして、パセラに厄災をふりかざした最悪の黒魔術師オガノラを自らの内に封じ込めたパスターカ・シン。
パスターカ物語などベストセラーを出している大作家であり、医術師でもあるキト・シャガード。
彼らの名前はパセラ国において知らぬ者はない。
高貴な家柄の子女が通う私立の魔法学院もあるが、特に今年は有名なパスターカ・シンが魔術学を教えるとあり、例年以上にパセラ国立魔法学校の入学志望者が増えた。
今年から魔術学の講師となったパスターカは、親友のキトへぼやく。
「キトの書いた俺の冒険談には、俺が格好よく書いてあるからさ。入学志願者が増えちゃったんだって。どうしてくれるんだよぅ」
パスターカのボヤキにキトは笑って答えた。
「そもそも君、新しい呪文が作れないもんね」
「キトお前、俺のことまだ落ちこぼれだと思ってるだろ?」
「とんでもない! 新しい呪文を思いつかないから、既存の呪文を組み合わせて新しい呪文に見せかける。パスターカ、君は使いまわし呪文の達人だ!」
「うぅ、なんて嬉しくない褒め方だ」
項垂れるパスターカの背をキトが力強く叩き、パスターカは反動でよろめいた。
「ねぇ、キト。ところでパセラ魔法学校の正門て、東西南北、結局どれなんだろう?」
入学式のパンフレットを片手に、パスターカが首を傾げる。
「え? 疑問、そこ? そして今頃?! パスターカだって通ってただろ? 他に疑問はないの?」
親友の相変わらずのとぼけ具合に、キトは息を飲んだ。
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