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反対と逆
ある男が、興味本位で人々に聞いて回った質問がある。『好き』の反対と逆は何だと思う?たったそれだけを、名乗りもせずにカメラを向けて聞いたそうだ。
…興味本位なんて言葉はただの飾りだ。この「興味本位」をもっと分かりやすく言うなら暇だったから、だろう。
その男は、返事をメモしていたそうで、私はそのメモを見せてもらった。『嫌い』が1番多く、分からないも数名いる。なんともつまらないメモだ。…ただ、この数字の羅列は一体なんなのだろうか。
「…なぁ、これ何?この数字。」
「ん〜…?あぁ〜、聞いた人の年。」
「ふーん…」
椅子を後ろに傾け、電球の光にメモを透かす。
「お…」
紙に反転した薄い文字が浮かび上がり、上がりきったテンションのまま紙を裏返す。
『飽きる。』
―――この言葉に、なぜだか撃ち抜かれたような気分になった。
年は…14、か。これ、本当に中学生の意見、なのか?
「なあなぁ!こいつ、なんて言ってたんだ?」
メモを男に見せ、質問する。
「そう思った理由?んぁなんだっけな。……あ、そうそう。『好きじゃなくなるのは飽きるから。飽きたか、何かしらマイナスなイメージを持っているものの、ある程度の知識は持ち合わせている物に対する感情が嫌い。好きの反対は飽きるか飽きた。逆は嫌い。』って。」
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