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1.入学式
新しいスタートを迎える4月、私ー松岡咲希は中学生になった。
新しい制服や靴、鞄を身にまとって、市立田畑中学校の正門をくぐり抜ける。
「凄くひろ〜い。知らない人達が沢山いる!」
「そうだね〜。咲希、これから頑張ってねー!」
と、妹ー希来良と話していた。
心の中では、緊張し過ぎて不安でしかなかった。でも、お父さんやお母さん、妹が隣に居るから心強い。
少しドキドキしながら、クラス分けの紙を見に行く。
すると、1年2組に私の名前が載っていた。
「あー、悠と離れちゃったよぉ⋯。」
「ほんとだなー、残念だ…。」
と父は言った。
そして、父は、考え深そうに私を見て言った。
「今日から、咲希は中学生かー。早いもんだね。」
確かに、小学校生活はあっという間に終わってしまった。
そして、もう中学生になってるなんて、時間って早いな〜。
ぼーっと、感傷に浸っていたら、先生達が呼び掛けを始めている事に気づいた。
「新入生の皆さんは、武道館の中に入り並んでください。」
周りの人達は、ぞろぞろと中に入っていく。私もその流れに乗って行くことにした。
「じゃあ、お父さん、お母さん、希来良、行ってくるねー!」
そう言って、手を振り、武道館に入った。中は、とても広くて人が沢山居た。
知ってる人達が近くに居ることを期待して自分の座る所に腰を下ろす。
そして、数分後。
「今から、入学式の練習を始めます。生徒の皆さんは起立してください⋯。」
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練習が終わったあと、ついに体育館で入学式が行われる。
大勢の前を歩くなんて緊張する⋯。
縮こまっていると、後ろの方から肩をトントンされた。
「ねーね、名前、なんて言うの〜?」
フレンドリーな子で明るくて可愛いな〜!
私とお友達になってくれるかな⋯?
「私は、松岡咲希だよ。あなたの名前は?」
その子は、にっこりと微笑んで言った。
「私は、縦馬場璃子だよー。よろしくね!」
元気いっぱいの璃子ちゃんは、やっぱり可愛かった。
「うんっ!
こちらこそよろしくね!」
⋯そして、音楽が流れはじめ、入学式は始まった!
入場すると、先生方や来賓の方々などが大きな拍手で私達を迎えてくれた。
その中に、お父さんとお母さん、希来良の姿が見えた。
久しぶりの家族集合が、こんなに笑顔で迎えられて良かった。
歩きながらそんな事を考えていた。
お父さんとお母さんは2度離婚していて、今も戸籍上は他人だ。けれど、もし戻れるのならまた4人で暮らしたい⋯。
3度目の正直になるのならばの話だけど⋯。
気がつくと席に着いていた。そして⋯。
私の名前が読み上げられた。
「1年2組、26番 松岡咲希さん。」
「はい!」
返事をして、後ろを向く。そして、最後に礼をする。
失敗せずに終わり、ほっとしながら席に座った。
全員の紹介が終わり、退場が始まった。
一刻も早くこの緊張から開放されたい。私は、そう思い足早に前へと進む。
やっと、体育館から出ることが出来た。
外の空気は新鮮で、心地良かった。
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