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2.学校生活/行事
あれから、三ヶ月の時が過ぎていた。
クラスの皆とも打ち解けて来ているのはとてもいいんだけど、うるさいの!
特に、男子達が大きな声で笑ったり走り回っている。私としては、静かに過ごして欲しいと毎度思っている。
でも、あと1週間後に体育大会が行われる。皆、その話に持ち切りなのだ。
今年、私達のクラスは、赤色のハチマキを巻く。ハチマキなんて初めてで何故か緊張する。
「咲希〜、外暑いのに練習とか最悪だよー!」
私の友達ー米倉志穂が、話し掛けに来てくれた。彼女は、ダンスが得意な子なんだけど、事情があって《特別学級》とクラスを行き来しているの。
「だよねー、マスク焼けも酷いし体力が持たないよー。」
今から、体育の授業で太陽の熱を浴びながら走る。それが10分間もあってキツい。熱中症になりそうだ。
とにかく、気合いで体育大会を乗り切る!
☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆
いよいよ、体育大会本番の日がやって来た。
私は、学級対抗リレーしか出場しないけれど、赤組の皆の応援をしっかりしたいと思う。
椅子をテントへと運び荷物を置く。そして、腰を掛けて空を見上げると、まるで開催を楽しみにしているように澄んだ青空が広がっていた。
「あっ、ハチマキを着けないきゃ。」
と、独り言を呟いて、私はポケットから赤のハチマキを取り出した。
あー、髪が絡まって上手く結べないよ。
「あのさ、未來ちゃん、ハチマキが上手くいかなくて結んでもらってもいいかな?」
未來ちゃん ー山田未來ちゃんは、小学校の頃にペンギン公園でたまたま私達のボールを見つけて遊んでいたの。それで、声を掛けたのが始まりで未來ちゃんグループと仲良くなったんだよね〜。
「いいよ〜!
あ、私も結べなくてさ〜、お願いしてもいい〜?」
「ありがとう!
うん、いいよ〜!
じゃあ、先に結ぶよー!」
と、ハチマキを受け取って結んであげた。
「ありがとう!
じゃあ、咲希ちゃんのも貸して〜。」
未來ちゃんの手にハチマキを乗せる。すると、手際よくギュッと結んでくれた。
「これでOKだよ〜!」
「すごい綺麗になってるー!
未來ちゃん、ありがとうね〜。」
お礼を言って、椅子に座った。外は、相変わらず暑い。
☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆*:..
「これより、田畑中学校の体育大会を開催致します。」
ついに、始まった、中学校初の体育大会。盛り上がって行くぞー!
種目が、始まった。
まずは、男子1000メートル走だ。
学年一イケメンと言われている、山田廉がトップを走っている。皆、キャーキャー言って盛り上がってる。
まぁ、そりゃー、人気者だしはしゃぎたい気持ちも分からなくもないけれど、勝つのが目的なんだから落ち着いてよ。
なんて、言ってる私も琉生を探してるんだけどね〜。
色々、応援しているうちに、3年生の社交ダンスが始まった。男女の距離の近さに頬が赤くなりそうだった。2年後に、私が踊ると思うと胸が高鳴る。
最後には、ペアの男女がハートを作って手を握り合いながら退場していく。私は、嘘でしょと目を大きく開けて放心状態になってしまった。
「未來ちゃん、私達も2年後に踊るんだよね⋯?」
恐る恐る聞いてみた。
「うん〜。私、恥ずかしいよ。」
やっぱり、皆も照れるよねー。
☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆
「これで、田畑中学校の体育大会を終わります。」
やっと終わったー!
これで、キツい練習からも解放だ〜!!
椅子を教室に運んで私は、帰りの準備に取り掛かった。
早く教室が静かになって欲しいからだ。
帰りの会も終わり、教室が静かになった。無音の教室は、とても居心地が良い。
そろそろ帰ろうかな。辺りを見回すとまだ教室には人が少し残っていた。
鍵閉めなくていいのはラッキーだ。
私は、挨拶を先生にしてから、ゆっくりと階段を降りて靴に履き替える。
そして、外に出て、空気をめーいっぱい吸い込んだ。
「スーゥ、ハー。」
気持ち良い風〜、しかも空気が美味しい。
学校生活が、もっと楽しくなるといいなー!
そう願いながら、空を見上げた。
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