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3.文化祭
体育大会から、2ヶ月の時が過ぎた。
初めての事に溢れている一年生生活の中で、私が最も楽しみにしていた行事がある。それは、『文化祭』だ!
その文化祭の担当決めが今日の学活の時間に行われたのだ。アンケート用紙には、いくつか選択肢があって、
1、役者(劇に参加する役者)
2、裏方(小道具を準備、機会の操作)
3、展示(折り鶴アートを作成)
の3つに別れていた。私は、折り紙を折るのが趣味でもあったから、三番を選んだ。でも残念ながら、琉生は劇の方に行ってしまった。
☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆
展示班は、自由に座って一緒にしたい人と折る事が出来るラッキーな所で、数学の先生である田代先生が音楽をかけてくれることもあった。
鶴は、思っていたよりも折る量が多くて手が疲れることもあったけれど、皆と心を一つにして作れる事の喜びが大きかった。
「萌寧、ここってどう折るんだったかな?」
萌寧 ー山村萌寧は、小学校から、仲の良い友達で、一緒にお話をしながら鶴を折っている。
「ここはね〜、こう折り込んで⋯。」
「あ、出来たー!
ありがと〜!!!!」
やっぱり、萌寧は、教えるのも上手だな〜。
キーンコーンカーンコーン
チャイムがなって、折り鶴作成1日目が終わった。
「まだ折れてないのは家で折ろうかな。」
「いいねー、私もそうしようかな。」
と、萌寧と一緒に折り紙を持って教室に戻った。
帰りの会が始まって、私は生活の記録を書いていた。ノートには、
『今日は、文化祭の展示作成がありました。入学してからあっという間に文化祭がやってきます。一日一日を大切に過ごしていきたいです。』
と、書いた。文化祭が成功することを祈りながら。
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コツコツ折り始めて、1ヶ月の時が経ち、もう10月。私達の展示作品も完成に近づいてきた。
それと同時に、役者の人達が折るのを手伝いに来てくれた。勿論そこには、琉生の姿もあった。
友達とはしゃぎながら笑顔で笑っている。
やっぱり、かっこいいなー、中学校に入ってから全然話せてないけど会えるだけでも十分パワーを貰えるよ〜!
なんて言うことを考えていると、萌寧がトントンと肩を叩いてきた。
「どーしたの?
手が止まってるよー、何かあったの?」
「ううん、何も無いよー!」
やっぱり、萌寧は優しいなー。すぐに心配してくれる。
「そう〜?
ならよかったー。」
話が終わり、私達は折るペースを上げた。琉生もいるし、気合いを入れないと!
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文化祭当日、私はとても興奮していた。なぜかって〜?
勿論、初めての文化祭だからだ。先輩方の劇や展示作品、音楽部の演奏などすごく楽しみなことばかりだ。
総務である田中由美と副総務の河野咲斗の後を並んで着いていく。外は、相変わらずの快晴だ。
しばらく歩いて、県民ホールに着いた。沢山の座席が広いホール全体に並んでいる。このホールで、文化祭だけではなくコロナの関係で延期されていた合唱コンクールも同時開催される事になっている。
私は、歌うことが好きだから、人前で歌うのは緊張するけれど楽しみだ。全力で歌いたい。
席に着いて、萌寧や他の友達とお話をした。緊張を紛らわすために。
開始は、あと5分後だ。しかも、合唱コンクールは1番目に披露するから更に緊張する。
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ブーッ、ブーッ
と、幕が上がった。ついに文化祭の開幕だ。生徒会長が挨拶の言葉を述べている。だが、緊張の様子は見えない。すごい。
何分か経った後、開会の挨拶が終わり劇班の発表が始まった。
私達1年生の劇班は、「魔法使いの夜」という題名で、魔女が夜に様々なハプニングを起こして人々に幸せをもたらすというホッコリストーリー。
2年生は、「戦争と苦しみ」という題名で、核兵器の恐ろしさと戦争の無惨さを表現し、戦争を二度と起こしてはいけないというストーリー。
3年生は、「15歳の自分から、10年後の自分へ」という題名で、今の自分から、未来の自分にメッセージを送りそこから卒業と共に新たな人生のステップを踏み出す青春ストーリー。
どの劇も、心に響く作品で凄かった!
しかも、皆堂々としていて俳優さんのようだった。
「凄かったね、劇!」
近くの席だった、未來ちゃんはものすごく頷いてくれた。
「うん!
めっちゃ、感動したし凄かった!」
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閉会式を終え、学校に戻った。皆、ガヤガヤしている。
文化祭で、合唱コンクールもあったから尚更結果が気になる。
メモを取り終え、帰りの挨拶をした。ながーい一日があっという間に終わった。
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