5.困惑/意識

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5.困惑/意識

この席に、少し馴染んできた1月。私は、ある不思議に気づいた。 それは、智樹君が何故か優しすぎるということ。 授業中に分からないところがあって、晴也に聞いたらたまたま同じ所が分からなかったの。 だから、智樹君に聞いたの。そしたら、いきなり席を立って私の隣に来て至近距離で教えてくれたり、私の手を握って優しくマッサージしてくれた。 好きでもない、ましてやそんなに話したこともない人に、こんなに触られてしまっている。 どーしたらいいんだろう。 でも、好きでもない人に、接近されるのはちょっと嫌だなー。 ˚✩∗*゚⋆。˚✩☪︎⋆。˚✩˚✩∗*゚⋆。˚✩⋆。˚✩ 昼休みが終わり掃除時間が始まった。 私は、倉庫付近の掃除で由紀子ちゃんと詩音の2人と同じ掃除場だ。 でも、今日は由紀子ちゃんが欠席だったから詩音と作業分担をした。 「これから、作業が始まります。生徒の皆さんは持ち場に移動をしてください。」 お、ナイスタイミング! 掃除を初めて10分が経った頃、詩音がニヤニヤしながらこちらの方に歩いてきた。 「どーしたの、詩音? なにかいいことでもあった〜?」 「いい事というか〜。 ねー、咲希。知ってた?」 「何を〜?」 私、なにかやらかしちゃったかな? 「智樹ね、咲希の事好きらしいよ〜!」 「えっ?」 今、私の事を智樹君が…好きって…。 「ナイって、そんな事。だって、詩音みたいに可愛くもないしコミュ障だよ?」 「そんな事ないよ〜! でも、この話は智樹君本人から聞いた事だからね。」 「そう、なんだ。」 「うん。だから、告白される準備をしてた方がいいんじゃない?」 されるわけないと信じたい。でも、今まで私の事を好きだって言ってくれた人なんていなかったから、なんて返事したらいいんだろう。 それに、どう接したらいいのか分かんないよ...。 「そうだね。教えてくれてありがとう!」 「いえいえ。」 この話をされてから、掃除に全然集中出来なかった。 「あと5分で作業終了です。手洗いを済ませて、着替えをしましょう。」 終わりのアナウンスが流れ、道具を片付けた。 終わったー、でも教室に戻るのは気まずいよ。いや、いつも通りに平常心で行こう。 「フーゥ。」 呼吸を整えて、教室に戻る。やっぱり居心地が悪い。 あんなこと言われたあとだから、頭が困惑している。 まぁ、気を取り直してひとまずは着替えをして授業を頑張ろう! ˚✩∗*゚⋆。˚✩☪︎⋆。˚✩˚✩∗*゚⋆。˚✩⋆。˚✩ 次の日、私は智樹君と距離を置こうと決めた。 気持ちを知ったからと態度を帰るのは間違っている。それは十分、分かっているけれど、優しくする事でもっと傷つけるのは嫌だから。 「咲希、おはよう。」 智樹君だ。 少し気まずいけれど、挨拶くらいはしないとダメだ。 「おはよう、智樹君!」 と、言って席に着く。そして、ネームを付けて着席した。 はぁー、相変わらずこの席はあまり気分が乗らないよ…。 「皆さん、おはようございます。今日も、6時間授業ですが頑張っていきましょう!」 安田先生は、元気そうだ。見てる私も少し元気を貰える。 今日もー頑張るぞ〜! これから、毎日明るく過ごせるといいな〜! ーなんて、甘いことを今の私は考えていた。 ˚✩∗*゚⋆。˚✩☪︎⋆。˚✩˚✩∗*゚⋆。˚✩⋆。˚✩
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