家族と食卓で

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布団に包まって寝ている僕の上に、何かがのってきた。 「お父さん朝ですよ。起きなさい」 娘が僕に問いかける。 「もうそんな時間か」 僕は目を擦りながら布団から出ようとするも、娘が離れようとしない。 「退いてくれないと起きれないよ」 「本当に起きるの」 「起きるよ」 「つまんないの、起きないと思ってお父さんを叩く準備をしてたのに」 そう言って、ほっぺたを膨らませる娘が可愛くて、愛おしい。 「お母さんは?」 「お母さんはご飯作ってるよ」 「お母さんのところに行こうか」 「うん」 僕は布団から離れ、娘と一緒に台所へ向かう。 「おはよう」 僕は妻に声をかけた。 妻はエプロンをつけて、朝ご飯を作っている。 「あっ、おはよう。もうすぐ朝ご飯できるから、ちょっとだけ待ってて」 そう言ってくる妻が可愛くて、愛おしい。 『家族っていいなぁ』と思える瞬間でもあった。 僕はパジャマから洋服に着替える。 「お父さん遊ぼう」 娘が僕の足を掴んで離れない。 妻はまだ朝ご飯を作っている。 「何して遊ぶ」 「う〜ん、折り紙しよう」 「よし、しよう」 僕は棚の中から折り紙を取り出し、娘と一緒にテーブル椅子へ腰掛ける。 「お父さん鶴折って」 「よし分かった」 そう言って僕は鶴を折り始める。 娘はそれをじっと見る。 見てるだけなのに、にこにこと笑っている。 「お父さん上手だね」 「大きくなったら誰でも折れるようになれるよ」 僕は照れくさそうに言った。 「ご飯できたよ、そっちに運ぶね」 折り鶴が完成したと同時に、朝ご飯ができたようだ。 完成した折り鶴をテーブルの真ん中に置いて、僕は折り紙を片付ける。 「お父さん早く」 娘が急かす。 僕は急いで椅子に座り直す。 妻も椅子に座る。 「いただきます」 娘の声に合わせて、僕と妻も「いただきます」と声に出した。 家族3人での朝ご飯。 妻と娘の笑顔が微笑ましい。 幸せのひとときだった。
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