第十一話 ももどうしちゃったの?

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第十一話 ももどうしちゃったの?

 ももが生まれ、就職も果たした。 「みなさ〜ん。今日からみどり先生と一緒に遊んでくれるみかん先生です」 「みかん先生です。楽しく遊びましょう」 「「「「は〜い」」」」  おぎゃー おぎゃー   ももが泣き出した。 「みなさん、ちょっと待っててね」  おむつ替えは園長先生がやってくれるが、おっぱいはさすがに。  ミルクという手もあるのだが、母乳の方が栄養があるから、おっぱいで育てる様にしている。 「ももちゃん、おっぱいですよ〜」  おっぱいをあげると教室に戻り、園児達と遊ぶ。  みどり先生のピアノに合わせて、園児達と一緒に歌ったり、園庭で遊んだり、お昼寝も。  育児と仕事で忙しい生活をしているが、毎日が楽しく、また、ももの成長が楽しみでいる。 「ただいま〜」 「お帰りなさい」  石井医師が自宅の色々をやってくれている。 「石井さん。いつもありがとう」 「いえ、いえ。これも仕事の一つですから」  勇司が戻ってくるまで後一年半。  ももは寝返りをできる様になりました。ハイハイまで後少し。ハイハイができる様になるとベビーベッドは危ないから一緒にお布団で寝る様になる。  今日はすみちゃんとももの対決。 「よ〜い。スタート」    もももすみちゃんもまっすぐ母親のところに向かってくる。  すみちゃんの勝利だったが、一生懸命ハイハイをしている姿が可愛い♡  すみちゃんはぼたんさんが抱っこをして、ももはあたしが抱っこ。  ゆらゆら揺らしているとももはうとうとしてくる。すみちゃんはハイハイしながらコテンと倒れてすやすや寝息を立てている。  幼児用布団を並べて二人ともすやすや。 「あっという間だね」 「はい。すみちゃんは後3ヶ月もしたら一歳ですね」 「そう。初めてのお誕生日。何をしようか」    ももも半年後には一歳になる。どんなお祝いがいいかなぁ。盛大に祝ってあげたい。  数ヶ月後、  すくすく育ったももは用もないのに泣く様になった。 「おぎゃ おぎゃ」 「ももちゃん。ちょっと待ってて〜」  今は石井医師は東京に戻り、ぼたんさんも忙しくなってきて、たまにしか来れない。  あたし一人だ。 「おぎゃ おぎゃ」 「はいはいはい。ももちゃんどうしたの?」  あたしはももの所に行き抱っこすると、泣き止み嬉しそうに笑う。  う〜ん。単なるわがままだなぁ。 「おぎゃ おぎゃ」 「………」 「おぎゃ おぎゃ」  ももは泣きながらハイハイしている。あたしを探している様だ。  ももさリビングを出るとキョロキョロしてきる。 「わぁっ」  ももはお目目を大きくしてあたしを見た後また泣き出した。  ガシャン  玄関に置いてある置物が落ちた。  あたしは振り向いたが誰もいない。   寒いっ!  今までなかった事にあたしは震えた。  突然物が落ちたり、飛んだりした事が度々あり、勇司に相談した。  勇司は電話口で 『偶然だろう。それから幽霊か』 「やめてよー。怖くなるでしょ」  勇司とあたしの考えは同じだった。  それが…  思わぬ事が起こった。 「ももちゃん。ももちゃん。どこ行ったの〜」  ももが突然いなくなった。 「ももちゃん、ももちゃん」  あたしは勇司に電話した。 「もしもし、勇司。ももがいなくなっちゃったぁ」  あたしは涙が溢れて電話口で泣き崩れていた。 『もしもし、みかん大丈夫か。これから向かうから』  その時だった。 「ばぁ」  ももが空中から声を掛けてきた。 「きゃー」  あたしの意識は途切れた。  ※  目が覚めた時には勇司がももを抱っこしていた。 「もも、もも。うぇ〜ん」  あたしはももが無事でよかった。  勇司は転送スキルで東京から一瞬で秩父の自宅に転送した。勇司が目にしたのはももが空に浮いていだそうだ。  あれは見間違いではなかった。しかも喋っていた。  ももはどうなっちゃったの?
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