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第十三話 もも2歳の誕生日
部屋は薄暗い。
「ハッピバースデイ すみちゃん♡」
「ハッピバースデイ もも♡」
ゆらゆら揺れている蝋燭の灯火が二人の幼児の笑顔を照し、バースデイソングが二人の生誕2年目を祝福し、幸せムードがこの空間を包んでいる。
「「おめでとう♡」」
二人の幼児が一生懸命蝋燭の灯火を消そうと、
ヒューとかスーとか声を上げている。
可愛い。
「ママが手伝っても良い?」
「ダメっ!」
ももの笑顔が消え、顔を真っ赤にしている。
二人とも蝋燭を消そうと躍起になっているのです。
ももは息を吸い、すみちゃんは口笛を吹くように口を窄めている。
これでは一向に消えることはない。
ぼたんさんが気を利かせて手持ちの扇風機で蝋燭越しに風を二人に送るが、彼女達の前髪が揺れるだけで、蝋燭に風が当たっていない。
それは、すみちゃんとももが手で蝋燭を囲っているからだ。
終いには、もももすみちゃんも食卓に上がり、蝋燭に口をつけようとしている。
「危ないっ」
あたしもぼたんさんもお互いの子を抱っこして蝋燭から遠ざけた。
ももは泣き、すみちゃんはモゾモゾしてぼたんさんから逃げようとしている。
ばたつくすみちゃんの足が引っかかり、ホールケーキが床に落ち、コップが倒れ入っていたジュースがこぼれた。
可愛く幸せなお誕生日会が音を立てて崩れていく瞬間だった。
「みかんちゃん、ごめん」
「大丈夫ですよぉ。すみちゃんごめんね。ももが2歳になるまで待ってもらったのに」
ももは泣きながら寝てしまい。
すみちゃんは…
ぼたんさんに怒られ項垂れている。
それからだった。
すみちゃんがイタズラすると食卓に座らされ、ぼたんさんの説教が永遠に続く。
結局、お誕生日会は仕切り直しになった。
今、すみちゃんとももは添い寝してぐっすり寝ている。
「次は電気で光る蝋燭にしようか」
「それだと機会的で可愛くないし」
「「う〜ん」」
勇司がいれば解決出来たかも。
勇司も浩介さんも用事があって出席できなかったのでした。
「パパにケーキ買ってきてもらうようにメッセージ送っておくね」
「うん。うちは美味しそうなものを買ってきて貰うようにするね」
「ありがとう」
仕切り直したお誕生日会は夜になり、勇司も浩介さんも出席できた。
蝋燭の灯火は、もしもの場合は勇司が魔法で消すことも考えていたが、すみちゃんとももの力で消すことが出来、可愛く素敵なお誕生日会になった。
実は、すみちゃんとももは勇司と浩介さんの特訓で風を吹けるようになったのでした。
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