🌫️夕方🌫️

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恩人さま ユリウス・ベリル 「まあ、定期的に掃除に来ているし 殺虫剤を撒いているからね… それで、寄りつかないんだろうな。」 なるほど… わたし メリリャ・ジュエリス 「どうりで、建物が 綺麗に保ててるわけですね♪ いつも、遠くから このお屋敷を見ていたんです。」 食堂に入り、流れるような動作で 椅子に座らされて その手が、すっと離れた。 恩人さま ユリウス・ベリル 「遠くから見ていた…? ああ、そうか… 君は3階の書斎から見える高台の お屋敷に住む、お嬢さんだったか。」 わたしは、頷く。 わたし メリリャ・ジュエリス 「だから、満潮と干潮が あるのを知っていたんです。 いま思うと、ほんとにバカなことを…」 わたしは、苦笑していた。 恩人さま ユリウス・ベリル 「本当だよ、まったく… 危うく父上のお屋敷から 死者が出るところだった… さてと…今から、ディナーを用意する 食材は非常時用に定期的に、買いそろえてるから そうだな、パスタぐらいは作れそうだ…」 彼は、キッチンに姿を消して わたしは、食堂を見回す。 ステキな風景画が、いくつか飾られてる… 濃霧の森の風景を描いたものが多いわね。 わたしがいた、高台の洋館も この湖畔の洋館も この、濃霧の森にある… この森の早朝は霧が濃くて それが、濃霧の森の名前の由来になったと 小さい頃、祖父から聞いた事を、思い出した。
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