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ジャジャーン! と、銅鑼が鳴り響きそうなテンションで、でもあくまでも小声で、「天野」さんはランディにささやいた。
「ねぇランディ、これって、どういう意味だと思う? それってつまりその、そーいうことだよね!」
きゃー! となっているところ恐縮だが、ランディには何がどういうことなのかさっぱり分からなかった。犬ですので。
でもこないだも「竹尾」さんは、「ランディになりたい」なんてことを言っていた。「ナントカになりたい」というのは、近頃の「竹尾」さんの口ぐせなのかもしれない。
でもそんな考察も、「天野」さんには伝わるはずもなく。
「ああ、もう、私今までぜんっぜん分かんなかった。何であんなかっこいい子の存在に気づかなかったんだろ! ハルトに目がくらんでたからしょうがないけど、やっぱりこれがほんとの恋だよね。そばにいることを実感して、その存在を目で見て、さわって……リアルこそ大優勝だったんだよ!」
「優勝」、あたりで「天野」さんはすっくと立ち上がった。
「ランディ、ありがと。私分かった」
「天野」さんは最後にランディをぎゅっ……、と抱きしめてきた。「天野」さん、今日もお花の香りがする。うっかりよだれが出てきちゃう。
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