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後日、その職員は無事嫁と和解したそうだ。なのでランディはまたその職員に、毛並みをわしゃわしゃされてしまった。
工場の人たちだけではない。そのうち、工場の前を通り過ぎる町の人たちも、ランディに相談を持ちかけるようになった。
「ああ、テストやだなあ」
とりわけ多かったのは、同じ服を着た若い人たちであった。近所に学校があるので、そこに属する者たちだと思われる。工場の職員と一緒で胸元に文字があり、それがどうやら名前のようだ。
その人たちはよってたかってランディをわしゃわしゃしたり、甘い食べ物をくれたりした。ランディは食べることが大好きなので、くれるものはみんな食べた。するとある日突然奥さんが
「太ったわね」
と言って、晩ごはんを減らされてしまった。ちょっとそれは残念に思っているけど、犬だから言わないようにしている。
同じ服、つまり学校の制服を着た人たちは、同じ服を着ているからといってみんな同じことを考えているわけではない。さっきの「天野」さんみたいに、十人十色、いろいろな悩みを抱えているようだ。
でも多くの制服着用者を悩ませているものは、主に「テスト」というものらしかった。
「まじでやる気出ないよ。ランディ、どうしよう」
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