ランディの人生相談

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 ちなみに、どういうわけか同じ服を着た人たちは、ランディの名を知っていた。名札もないのに、どこからそのような個人情報がもれたのかは分からない。人間の持つ能力は、ランディには計り知れないのだ。 「今回の模試もさ、結構頑張ったんだよ。けど全然分かんなかった。違う国に来たみたいだった。どうしよう、このままじゃ、西高に行けないよ。そしたら親が、何て言うか」  その人はランディに甘辛い何かをくれた。何かに付着している甘辛い粉がクセになる。ベロを出すともう一枚くれた。ランディは一回水が欲しいな、と思ったけど、多分伝わらないので、もう一枚食べた後は、ベロを引っ込めておくことにした。  その人の胸元には「竹尾」とあった。ランディは心の中で、「竹尾」さん、ありがとう、と感謝した。 「ランディ、うまいか。よかった。おれも好きなんだ、このお菓子」  ランディの感謝がなぜか伝わったようで、「竹尾」さんは目を細めた。なぜ伝わったのだろうか。ヒトの能力、おそろしい。とランディは思ったが、言わなかった。言えないけど。
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