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「ランディはいいな。おれもランディになりたいよ」
「竹尾」さんは一人笑って、ため息をついた。
「いてくれるだけでいいって、そんなソンザイになりたいな、おれも」
そしてしばしランディを見つめて、
「まぁ。がんばるよ」
と、小さな声でつぶやき、よいしょっと立ち上がった。
「ランディ、ありがとな」
「竹尾」さんの手が伸びてくる。
ああ、またあったかい手でわしゃわしゃっとされてしまうのかなっ?
と、ビクビク、ワクワクしていたランディであったが、「竹尾」さんはそうしなかった。
「何、これ」
その代わりに、ランディの豊かな毛並みから「竹尾」さんがつまみ上げたのは、さっき見かけた甘いパステルのシュシュだった。持ち主の名前も覚えている。「天野」さんだ。
「これって、いつも天野さんがつけてるやつ……」
ランディは思わずグフゥ、とうなった。ほんとは「そうです! 「天野」さんです! 「天野」さんの忘れ物です!」と、言いたかったのだ。よかった。同じ制服を着ている者同士、知り合いだったようだ。
「……」
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