ランディの人生相談

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「こないださ……、これ、竹尾くんが持ってきてくれたの。「これ、天野さんのじゃない?」って」  シュシュをいじりながら、「天野」さんは続けた。パステルのシュシュをいじる「天野」さんの爪も、ほんのりと淡いピンク色である。ランディは、昨日奥さんが連れていってくれた公園の花を思い出した。木から涙のように降ってくる、あれは「桜」なのだそうだ。 「私これ失くしちゃったのかなって落ち込んでたからさぁ。うれしくてハグしちゃったの。そしたらさ……竹尾くん、めっちゃ顔真っ赤になっちゃってさ。その時私、え、って、思っちゃった。え、待って、かわいい、って思っちゃって……。竹尾くんって、超頭よくてさ、あと走りも速いんだよね。割と女子の間でも好感度高いっていうか。その竹尾くんが私のシュシュ覚えてくれてたって……どう思う? 竹尾くん、私のことどう思ってるんだろう。しかもさ……」 「天野」さんはパステルのシュシュをじっと見つめて、また話す。 「竹尾くん、小さい声だけど言ってたんだよね。「このシュシュになりたいよ」……って! 言ってたの!」
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