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その夜、おかあさん、お姉ちゃんが、そして、おとうさんが帰ってくるのを待っていたかのように大ばあちゃんは静かに逝きました。
遅めの夕飯だったみんなにランちゃんは細く長く鳴いて大ばあちゃんの最期を知らせたのです。
「大ばあちゃん……」
「楽しい夢を見て眠っているみたい」
「穏やかな顔やね」
「写真でしか知らないけど、大きいおじいちゃんが迎えに来たとか?」
「お医者に電話せなならん」
「ああ、そうやったわ。電話、電話」
大ばあちゃんとサヨナラして一週間ほどが経った。次はボクの番だと思う。いや、エミリアをおくって……。そう考えながら見たエミリアと目が合った。
ランちゃんも同じことを? 誰にでもいつかはおとずれる。そう大ばあちゃんは教えてくれました。私たちにもその日は来ますが、今はただ長谷川家でのんびり暮らそうと思います。
新しい年になり長谷川家は普通の毎日に。お兄ちゃんは冬休みが終わる前にアパートに帰った。
「ラン、散歩に行くぞ」
ボクは立ち上がる。
「エミリーは無理しなくていいんだぞぉ。じいちゃんは一緒がいいけどな」
あたたかくなるまでエミリアはおばあちゃんとこたつでのんびりだよ、おじいちゃん。さあ、行こう。
ボクはキリリとした冬空の下、前を向いておじいちゃんの隣をゆっくりと歩く。
〈了〉
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