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「花巻さんのスマホケースかわいいですよね」
「え?そうですか?なんか姪っ子にはキモいって言われちゃって」
いつの間にか会話に参加している春木君はほんとにさり気なく自然に花巻さんに寄り添っていて、ちょっとやけてしまう。
「俺は彼女とおそろいなんで俺の趣味要素はゼロですね」
「何だよさり気なくのろけんなよ」
春木君と鏑木さんの話に笑いが起こる。
「私は娘と息子と色違い」
「え?重山さん携帯持つようなお子さんがいるんですか?」
ちょっと驚いてしまう
「あら森くん嬉しいこと言ってくれるわね。」
心底嬉しそうな顔をする重山さん。
酔ってきたのかだいぶ砕けた感じになってきた。
「いや、まじで俺とそれほど変わらないのかと…」
「いや10は違うわよ。子供も高1と中2だし」
えーっとその場にいた全員が驚く。
満足げな重山さんはほんとにそんなふうには見えない。
「おみそれしました」
鏑木さんが頭を下げる。
ふと見ると花巻さんの笑顔が見えた。
あの日ちょっと見かけただけのあの沈んだ顔を思い出して、ちょっとホッとしてしまう。
俺の視線に気づいたのか、ふと花巻さんと目があう。
彼女はふわっと柔らかい笑顔を俺に向けてくれた。
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