告白

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みんなお酒が入って賑やかになってきたころ。 俺の隣にいた花巻さんがポツリとつぶやいた。 「私チーム編成不安だったけど、このチームに入れて良かったです」 「え?あ、あぁ。ここ雰囲気いいよね」 俺は思わずタメ口になってしまってハッとしたが、彼女は気にしていないよだった。 「あっ、でも私鈍臭いし鈍いんで、皆さんの足引っ張ったりしてないですかね?」 ちょっと慌てて俺を見たあと目を泳がせた。 「ふふ…、大丈夫ですよ。いい感じにチームの一員できてます」 そう言って俺は彼女に笑いかける。 「あ、はぁ、よかった。」 俺の言葉に彼女は文字通り胸をなでおろして、笑顔になった。 「花巻さんは笑顔がいいです」 「え?」 「実は俺、チーム編成の前の日、花巻さんを見かけてて」 俺は思わずあの日のことを話していた。 「え?いつですか?」 「いや、大きなため息ついて下向いて歩いてる女の人いるなぁって」 そう言うと、ちょっと思案してすぐにあっ!となった。 「えっとなんか…変なとこ見せちゃって」 ちょっとテンパっている姿がなんとも言えず愛おしく思えた。 なんだろう宴会の空気に飲まれてテンションあがってるのかなぁ。 冷静になれ、俺。 自分を戒める。 「まぁ凹む日もありますよね、大人ですから。 俺もやばいときありますよ」 「あ、はは…」 取ってつけたような言葉に、花巻さんも曖昧に笑った。 「森さんは、優しいですね」 と付け加えた。 そのフワッとした笑顔と、ちょっと影のある横顔にドキッとする。 あぁ俺、この人好きだ。 体の奥から突き動かされるような衝動を必死で抑えた。
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