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俺は久保田 直人 20歳 工業高校を卒業し電気会社で働いている。
そして、久しぶりに中学の同窓会があり何故か参加していた。
「おう、K大学駅伝凄いなァ?」
「まあな…」
「お前確かT大学に行ったんだよなぁ?」
「そうだけど…」
「本当!」
「一浪したけどね…」
「凄いなぁ!」
そんな声が周りから聞こえて来た。
「久保田じゃあない?」
「そうだけど…」
「久しぶり!」
「悪い、誰だっけ?」
「高木、高木だよ!」
「え、高木…お前そんな痩せてたっけ?」
俺は中学時代柔道部に所属し部長で、高木は副部長であった。
俺は細身であったが高木はガタイがあり体重は80キロを超えていたからだ…
「高校までは柔道していたけど大学ではやらなかった…」
「なんせモテたくてダイエットして痩せたんだ….」
「高木、大学行ったんだ?」
「まあな…三流だけど…」
「そうなんだ…」
「久保田は?」
「え、俺?」
「電気会社に勤めてるよ…」
「そうなんだ…」
「あまり勉強好きじゃあいから…」
俺は中学時代勉強が出来なかった。
しかし、何故か柔道部では後輩に人気があり部長に選出された。
俺は勉強は出来なかったがグレることなく真面目であった。
親父はY大学進学を夢みて勉学に励んでいたが結核を患い断念した。
そんな話を親戚の叔父さんから聴いていた。
自分の夢であった事を俺に…
親父はどうしても俺を大学に行かせたかったようだ。
だが俺は勉強が嫌いであり中卒で良いと思っていた。
すると親父はせめて高校には行ってくれと俺を説得し工業高校へ進学した。
「ひょっとして高木くん?」
「秋葉?」
「そう…」
「相変わらず綺麗だなぁ…」
「ありがとう…」
秋葉が高木に話しかけてきた。
秋葉はこのクラスいやこの中学で一番美しい女であった。
美しさは透き通る様な白い肌、瞳は大きく均整が取れた顔だちで身長は少し高く同期は元より先輩や不良達からも声を掛けられていた。
「横にいるの久保田くん?」
「…」
俺は軽く頷いたが何故か秋葉に声を掛けたくなかった…
「久保田どうした秋葉だぜ?」
すると…
「千秋?」
後ろから誰かが秋葉に声を掛け秋葉は振り返り俺と高木の元から去っていった。
「久保田どうした?」
「別に何でもないよ…」
「あ、あ、そう言えば一時久保田秋葉に…?」
「…」
俺は高木の言葉に反応することはなかった。
「久保田、あとでな?」
高木は別のテーブルに移動していった。
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