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顔を上げた葵は何故か酷く傷ついた顔をしていた。まるで豊の今の言葉に傷ついたように見える。どうしていいかわからず、豊は腫れ物に触るように言葉を選ぶ。
「気分変えない? お昼、何か用意するから」
「……いらない」
そう言って豊から離れて立ち上がり、部屋に戻ろうとする弱々しい葵を背中に触れて支えたら、やめて、と強く拒まれた。
「大丈夫だから離して」
「何で」
葵は、とにかく嫌だ、と撥ね付けた。
「今は豊といたくない」
「……1人がいい?」
葵は何も答えてはくれなかった。下唇を痛々しく噛んで、辛そうな顔をしている。豊はそんな葵を見ていられなかった。
「ごめん、ほっとけない。俺は葵の事、特別に思ってるから。葵がいいなら、恋人になりたいくらい」
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