作戦

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「いいかゴン助。お前が俺の言うとおりに喋れると、この家に若い女性が来ることになる。そうしたら、どうなると思う?お前も嬉しいだろ」 「ワォ~ン!!」  ゴン助は俺の言ってることを理解しているのか、尻尾を振って喜んでいる。  ゴン助は散歩中に若い女性を見掛けると、必ずと言っていいほど尻尾を振って寄って行く。  疑う余地なく、こいつは俺以上に若い女性が好きなのだ。 「たった4文字でいいんだ。まずは”や”からだ」 「ワン」 「返事は”ワン”ではなく、これからはさっきも言ったけように”ヤン”にしろ。いいか」 「ワァン」 「さっきと変わらんぞ、いいか”ヤン”だ」 「ゥォワン」 「遠くなったぞ、”ヤン”だ、”ヤン”」 「ゥェワァン」  なんか近い気がする…  俺はおやつを与えながら、1日30分の練習を朝晩二回。その他ゴン助に語り掛けた時の返事は、常に”ヤン”と返事をすることを要求。  そして、その甲斐あって10日後、 「よし、今日も練習を始めるぞゴン助」 「ヤゥン」  ゴン助は、”や”をそこそこ習得。次は”い”の番だ。  それからのゴン助の返事は”ワン”ではなく、”イン”とすることに。  こんなことを繰り返し、その1カ月後には”ヤン”,”イン”,”タン”で返事をすることを習得。  もちろん、人間の様にはっきりした発音ではない。しかし、贔屓目で聞けばそれなりに聞こえるレベルではある。
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