プロポーズ編

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プロポーズ編

 和人に家族なって欲しいと結婚しようと言われて『はい』と返事をしたのは数日前。  完全に発情期が終わって、和人を説得して自宅のアパートに帰ると元々少ないアパートの荷物は全部なくなっていて、アパートのオーナーから桐生に電話があってスペアキーと一緒にカギを返却した。  帰っても住むところがなくて、桐生の家に居候することになった。 「和人兄の自分勝手にも困ったものだな」  アパートの様子を聞いた桐生はため息をついて、「兄のしたことだから仕方がない」と居候を申し出てくれた。  桐生の家のリビングで紅茶を口に運ぶ。  ユキさんは彰を連れて買い物に出かけている。 「私の荷物はどこに持っていかれたんでしょうか」  桐生に聞いても、「俺は知らない」と返事をされてしまった。  壊れてしまった携帯はすぐに和人が新しい物を用意してくれた。バックアップは取っていたので復元は可能だった。 「会社にも連絡があった」 「え、私やっぱりやめるんですか?」  桐生は、「まだ保留にしてある。俺にはこれが届いてた」と文字のプリントされた紙を渡された。
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