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「ど、どうして」  ……ここにいるんだ?  動揺のあまり後半は声にならなかったけれど、付き合って三年目の冬を迎える恋人は僕の疑問を瞬時に察したらしく。 「昨日のLINE、見返してごらん」  腕を組んで僕を見下ろし、雪のような声音で言う。 「LINE?」  さりげなく菜乃花ちゃんの下着から右手を離しつつ、左手でスマホを手に取る。  言われた通りトーク履歴を見るなり、血が凍るような感覚に襲われた。 「そこにいるのが、『菜乃花ちゃん』って子?」  ——昨晩、友達と飲んだ帰り、ホームでLINEをしていた時。  泥酔していた僕は、澪と菜乃花ちゃんの名前を間違え、こう送っていたのだ。 【菜乃花ちゃんが温めてくれる?】 「わたしと会えない時間に、その菜乃花って子との恋を育てていたのね」
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