会いたかった

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 私は22歳のどこにでもいるような普通の大学生だ。  ある日、8年前から連絡が途絶えていた友人から一通の手紙が送られてきた。 住所を見れば、見知らぬ名前の島から。  随分遠く離れたところにあるらしくスマホで調べた地図には載っていなかった。  封筒の中には手紙ともう一つ紙切れのようなものが入っていた。  先に取り出した手紙に目を通す。  内容を要約すると、「久々に会わない?」とのことだった。  私は、どこかへ引っ越したきり長らく会えていなかった友人と会えることを喜ばしく思った。 友人は変わらず元気でいるだろうか。 沢山聞きたいことや積もる話があった。  封筒の中からは、友人が暮らす島まで行くフェリーのチケットが出てきた。  ずっと連絡を取れなかったことを詫びてのことらしい。 何とも有り難い配慮だ。 私は早速荷造りをして港へ向かった。 港には大きなフェリーがとまっていた。  私が波止場に着くと、フェリーからブリッジが降りてきた。  それを渡り、中へ乗り込むとフェリーは出港した。  フェリーの中には私と同じ様に島への到着を待つ人が沢山いた。  ただ一つ違うところは皆旅行用の大きな荷物を持っていないところだった。 少し引っかかったが気にしないことにした。  友人がいる島に着くまで、他の人達と話すことにした。 「とても良いところで楽園のようだよ」 「住民は皆若々しくてね」 皆笑顔で口を揃えてそう言っていた。 私は島に着くのが楽しみになった。 島に着くと、人々はブリッジを降りて各々港で待っていた人のところへ一目散に向かった。 涙ながらに抱き合う彼らを微笑ましく見守りながら友人の姿を探す。 友人はどんな大人になっているのだろう。 暫く目を彷徨わせていると一人の少年が眼の前に立った。 その少年と目が合い、目を見開く。 「久しぶり。  待ってたよ、〇〇」 友人は、8年前と変わらない姿で私を見上げていた。 彼は無邪気に笑い、両腕を広げて言った。 「これからはずーっと一緒だよ」 私はその言葉ですべてを悟った。 『あぁ、✕✕。  君はもうこの世にはいなかったんだね』
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