気紛れに優しく

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「蒲生リーダーのOKも出たんだし、やるしかねぇだろ」 「俺を巻き込むなよ」 「何言ってんだ。俺と浅井の仲じゃねぇか」  へらへらと笑いながらドスドスと肩を叩いてくる二宮に「どんな仲だよ」と顔を顰めた。 「このビルにはな、大小含めて二十社弱も入ってるんだ。全部が全部参加しなくてもそれなりに集まるだろ」  それはブレストでも二宮が言っていたことだった。十二階建てのタチバナビルは平成初期に建てられたそれなりに年期の入ったオフィスビルで、一階がコンビニ、三階と四階はそれぞれ商社がワンフロアを使っており、残りのフロアは雑多な企業が入居していた。入れ替わりが激しい部屋もあるがどちらかと言えば長く入居している企業がほとんどで、二宮が言う通り声を掛ければ人数は集まると思われた。募集する場所が場所だからドタキャンも少ないだろう。こういった交流会で一番いけないのは参加者が集まらないことだ。集まってしまえば業種や人間に対する不満はほとんど出ない。そりゃそうだ。異業種(、、、)交流会なんだから。
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