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「瀬奈、A社との打ち合わせ終わった?」部長は首を少し傾げながら居心地悪そうに涼に問いかける。先程のシーンを見られたのが気まずいのだろう。
「終わりました。問題なく。部長がいなくても大丈夫でしたよ」少し棘のある口調で涼は告げる。
「そっか。ごめんね。全部やらせて」部長は目尻を下げて謝罪し、「あ、お詫びに何か美味しいもの奢るよ。お昼今からでしょ?」とニコッと笑う。
「何でもいいんですか?」涼は部長の前にスッと立ち見下ろす。185㎝ある涼からすれば高身長の部長さえも見下ろす形となる。
「もちろん。何でも」部長は上目遣いで微笑む。
「なら、貴方がいいです。藍がいい」涼は美輪の耳元にそっと囁く。
ツツっ。
美輪は顔を一気に赤らめる。
普段、感情を表に出さない事で有名な彼の顔が一気に変わる。
耳まで赤くなったその様を見て涼は微笑む。
本当、可愛い。
「瀬奈、今は仕事モードに切り替えて。」美輪は顔を手の平で覆い、もう片方の手で涼を叩く。
「もう!先に行って。俺はもう少ししてから戻るから」美輪は涼の背中をグイグイ押して顔を隠す。
「じゃあ。また夜に」
そう涼は囁きその場を後にした。
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