2/5
1031人が本棚に入れています
本棚に追加
/208ページ
「瀬奈、A社との打ち合わせ終わった?」部長は首を少し傾げながら居心地悪そうに涼に問いかける。先程のシーンを見られたのが気まずいのだろう。 「終わりました。問題なく。部長がいなくても大丈夫でしたよ」少し棘のある口調で涼は告げる。 「そっか。ごめんね。全部やらせて」部長は目尻を下げて謝罪し、「あ、お詫びに何か美味しいもの奢るよ。お昼今からでしょ?」とニコッと笑う。 「何でもいいんですか?」涼は部長の前にスッと立ち見下ろす。185㎝ある涼からすれば高身長の部長さえも見下ろす形となる。 「もちろん。何でも」部長は上目遣いで微笑む。 「なら、貴方がいいです。藍がいい」涼は美輪の耳元にそっと(ささや)く。 ツツっ。 美輪は顔を一気に赤らめる。 普段、感情を表に出さない事で有名な彼の顔が一気に変わる。 耳まで赤くなったその様を見て涼は微笑む。 本当、可愛い。 「瀬奈、今は仕事モードに切り替えて。」美輪は顔を手の平で覆い、もう片方の手で涼を叩く。 「もう!先に行って。俺はもう少ししてから戻るから」美輪は涼の背中をグイグイ押して顔を隠す。 「じゃあ。また夜に」 そう涼は囁きその場を後にした。
/208ページ

最初のコメントを投稿しよう!