未知の道ゆく

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「――じゃあな! ――じゃあな! ――じゃあなっ!!  ……ウウウウ、体が動かせない。どうしてもクルマに乗れない……。ダメだ! ちくしょう。どうすりゃいいのさ、おれはいったい……。 ああ、そっとマーゴが寄って来た。また心配そうな顔をして見てる。ああ『マーゴ』と小さく鳴いた……。はっ! おい、もしかして……。きみのそのやさしい目はもしかして……きみの今の苦しみよりも、おれの心の苦しみを見抜いて、映してる目だったか……?! なんてこった。もういい。もうダメだ。もうあきらめよう。おしまいだ。フッフッフ……。マーゴ。むく犬マーゴ。どうにもきみにはかなわない。完全に降参するぞ! 自由がなんだ。孤独がなんだ。さあこのクルマに乗ってください。どうかおれのうちに来てくれよ! そしてずーっといっしょに暮らそうぜ! アハハハハハ!!  ……おおっ? なんだか大体の意味も通じたらしいぞ? よろこんで足踏みしてらあ! さあ乗った! クルマは乗ったことあるのかい? いや、こっちは運転席だ。マーゴ! きみの来し方は知らないけど、さすがに運転免許は取ってないだろう。そら、助手席にぴょん! だ。ぴょん! オッケイ、グレイイイイト!」
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