その名はマーゴ

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その名はマーゴ

「名残惜しい、行き過ぎた秋を、行き過ぎた休日を、そして自由を、ちょっと振り返って見てもいいだろうか? 後にした景色をもう一度だけ。べつにセンチメンタルでそうしたいんじゃないぞ。ただなんとなく、一目見たいんだ。ただなんとなく……。いや、それでなくたって、なぜかさっきから、とても背後が気になるんだよな……。 なんだろう。気のせいだろ? ああ気のせい、気のせい……と思いたいけど、やっぱり何かを感じる! いわゆる気配というものが、そっちにある。かすかに。だがたしかに……。ウッ? おい、これはまさか……ヤツか?! あ、あ、あ、”ある日森のなか”か――? いやいや、大丈夫なはずだ。背中のデカ鈴はずっとカランコロン鳴ってるし、独り言だってこうしてぺちゃくちゃやってるんだから。ヤツらなら、自分からは寄り付かない……はずだ。た、たぶん大丈夫……だろ? とにかくえいっ、見てみないことには始まらない。見るぜ? おい、そっちを振り向くよう? い、いいかっ?! ……だァーるまさんがァ、こォーろんだ!」
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