その名はマーゴ

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「おやっ! なんだ……犬じゃないか。なんてこった、でかい犬がきょとんと突っ立ってる……。まるで少し変な人間でも見るように……。 でもでっかいけど、ぜんぜん怖い感じはないな。あはっ、目が合ったら、へけっと笑ってらあ。あはははは、とんだヒグマさんよ! ふう……! えーっと、きみはあれかね、なんとかレトリバーというのかな? 犬種のことはよく知らないけど、なんだっけ、ほらやっぱり、二種類ほど聞くレトリバーのさ、毛がふさふさしてる方みたいだ。でもせっかくの長い毛も、ずいぶんと汚くなっちゃって。こりゃそうとうこの山で、ワイルドに遊び回ったな。あはは、よう! だったらきみとおれとは同好の士ってわけだね。へえ、これは美しいめぐりあいで、共感の図じゃないか。なあっ? オオカミの末裔であるきみと、サルの親戚であるおれが、ある日森のなか同好の士だ! おーい、それにしても一人かい? こんな山のなかで? ずっとおれの後ろを付いてきてたの? そのへんにおれとおんなじ、ホモサピエンスの飼い主さんはいないのか? 訊いても答えないよなあ」
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