その名はマーゴ

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「ゆっくりこっちに近づいてくる。やっぱり人懐っこいな。おおーお、でもやっぱ……でっけえ! あのー、きみね。咬んだら怒るぜ? 分かってますね? おお、おお! からだ中で笑ってるよ。へっへっへっと! 何がそんなにうれしいんだい。うわああ、かわいいな!  首輪はしてる? もじゃもじゃの毛皮でうもれてるけど、してるようだ……。アハハハハ! 横っ腹でぶつかって、くっついてくる! よーし、それじゃあおれも。ほれ、ほっぺた撫でちゃうぞ。ムニムニムニムニムニ……! 背中も撫でちゃうぞ。カシャカシャカシャカシャ……!  えっ、ちょっと待ちな! うわ、なんだ。なんて痩せこけた、ごつごつしたからだなんだ……。これは大丈夫か、おい。しばらく何も食べてないんじゃ……。きみはもしかして野良犬、いや迷い犬か? たしかに首輪はしてるけど、これもよく見たら、まあ汚いし……。 うひゃあ! 少しは大はしゃぎをやめなって! うおーっ、引っくり返される! 落ち着くんだ。そうそう。おれたちはちょっと深刻な話をしなきゃいけない。ふう……。でもこれも、よっぽど久しぶりに人間と出会えて、うれしいからとか? ずうっとさびしかったんじゃないだろうな……」
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