その名はマーゴ

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「とりあえずきみ、おれの昼飯の残り、コンビニのおにぎりでも食おうか。犬に人間の食べ物はよくないそうだけど、そんなことを言ってる場合じゃないし。アグ、アグ、アグと……もう食べちゃったか! お茶も要る? えーと、困ったな。しょうがない、おれの手の平からどうぞ。 さて、困った。改めて困った。どうするかだ。きみの飼い主を探している時間は、おれにはない。これから駐車場まで歩いて、まあ一時間と少しだろ……。それからクルマを飛ばしても、うちに帰り着くまで六時間くらいかかる。あしたの朝だって早いし……。 なんだ、のんきに大あくびなんかしちゃって。『アーオ』? いや『マーゴ』って今言ったね? よし、じゃあきみのことはマーゴって呼ぶか。むく犬マーゴ。迷子のマーゴ。あはっ、なんか語呂がいいし! 王妃はマルゴか。それだれだ? いや、そんなこと言ってる場合じゃなくて、とりあえずおれはもう、クルマへと向かわねば。日が暮れる。 マーゴはやっぱり……、うん。付いてくるよなあ。すごくうれしそうに……」
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