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音星は少し上の空で、どこまでも続く灰色の空を眺めながら考えあぐねいた。それからゆっくりと口を開いた。
「私ね。尸童(よりまし)や死口(しにくち)の時にこう思ったの……」
「確か……。尸童(よりまし)は、巫女が神降ろしの際に、神を乗り移させたりする子供や人形のことだね。……えーと、確か。死口(しにくち)は死者の魂を呼び寄せて、語らせることだね」
「ええ。そうです」
「ふむ……。その時にこう思った。地獄で死者の弔いをしてみよう……と?」
「はい! その通りなんです! よくわかりましたねえ火端さん!」
「……」
「はい? 私、何か変ですか?」
「いや、別に」
俺は何も言えなかった。
だけど、これだけは言える。
音星は、ちょっとズレてて優しい奴なんだな。
と、思ったんだ。
うーん。
後は、音星は地獄へどうやって来たんだろう??
「見つかるといいですね。火端さんの妹さん……」
「あ、ああ。だけど、多分ここにはいないかもな。もっと下の方だろう? あいつの罪は冤罪だけど、重いから……」
「うーん……? あ、でも私。ここ八大地獄では等活地獄までしか来たことないんですよ」
「そうか……なあ、音星? ここ八大地獄へはどうやって……?」
俺が言おうとしたら、音星はおにぎりを食べ終わり、額に人差し指を当てて考え込んでしまった。
その時、向こうの針の山で大きな音がした。
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