それは理(ことわり)?

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「あら? 何かしら? 今の大きな音?」 「あ、み! 見るな!!」  俺は音星の目を片手で覆った。  ここは等活地獄。  殺生をした人が最初に落ちる地獄の第一層だ。  だから……。  罪人が灰色の空から大量に落ちてきた。ある者は針の山で串刺しになり、ある者は地獄の鬼(獄卒)たちに、落ちてきたものから、金棒で八つ裂きにされていた。  人々の血液で、瞬く間に地面が真っ赤な血の海になっていった。金棒で人体は骨がぶっ飛び。首や腕までもが飛んでいく。  八つ裂きにされたものから人型の魂だけの存在になっていった。 「ああ、ああ、そうでしたね。私、知っていますよ。罪を犯した人たちが空から落ちてきたのですね」 「ああ……そうだが。見たことあるのか?」 「いえ……いつもその時は目を瞑っておりますから」 「それは良かったな」  俺はさすがに怖くなってきたが、音星の目を閉じさせている片手に力を入れるのを忘れなかった。  断末魔すら聞こえることのない地獄の責苦を目の当たりにして、俺は急に立ち上って、走り出したいという気持ちが心の中で強くなった。そして、走って、走って、全力で探したい!  早く妹を探さないといけない!!  居ても立っても居られない激しい焦燥感に駆られていると、俺の手で目を覆われている音星がニッコリと笑って、立ち上がった。 「私はここで、目を瞑って待っておりますから……どうか、妹さんをお探しに行ってください!」 「……おお! ありがとな!! 音星!」  音星の優しい笑顔で、俺は落ち着きを少し取り戻した。  等活地獄一体を、とりあえずは、妹を探しに走り回ることにした。  
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