それは理(ことわり)?

7/14
前へ
/144ページ
次へ
 しばらく俺は、言われた通りに音星の持つ手鏡をじっと見つめていた。  すると、手鏡の光は眩しさを増した。 「そのまま……そのまま……手鏡を見ていてください」 「ああ」 …………  突然、車のクラクションが俺の耳に入った。  辺りがすごく明るくなって、雑踏が少しずつ聞こえて来た。    俺はびっくりして、後ろを振り向くと……? 「うん?」  目の前には、バスで来た時に見た八天街のロータリーが広がっていた。   「え? え? な??」 「どうです?」  音星の声の方へ首を向けると、音星は布袋を背負ってロータリーから大通りへと横断歩道をスタスタと歩いて行ってしまった。   「さあ、火端さん。お宿はこっちですよ」 「あ……ああ。さすがに驚いたよ」  なるほど。  こうやって、音星は地獄へ行き来していたんだ。
/144ページ

最初のコメントを投稿しよう!

27人が本棚に入れています
本棚に追加