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「はあー、確かにそうだねえ。寝る場所がないわねえ」
「この通り小さな貧乏民宿だしなあ。ほれ、部屋は他のお客で満員だぞ。なあ、お前。そういや、二階の倉庫が空いていたっけなあ?」
「いやいやいや、それじゃあ、さすがに可哀そうじゃないかしらねー」
おじさんとおばさんが、俺の寝床のことで首を捻って考えている。
「え?? 寝床がない?! 俺、寝袋あるから外でもいいけど……」
「あ、それでしたら、大丈夫ですよ。火端さんは私の部屋でもいいですよ。今の季節でもまだ夜は冷えますし」
「ぶーーーっ!! それはダメだ!!」
「ぶーーーっ!!」
「ぶーーーっ!!」
おじさんとおばさんと俺が同時に激しく吹いた。
大柄なおじさんが、腹を抱えて笑いだした。
「がははははは! 気に入ったぞ! ぼうず! それなら、俺の息子の部屋が空いているぞ。息子のことは気にしなくて良いんだぞ! 今は東京に行ってるからなあ。多分、数年はここに帰って来ることはないだろうからな! 自由に使ってやってくれ!」
「あ、ありがとう!! おじさん! おばさん!」
「火端さん。良かったですねー」
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