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目の前は、真夜中の涼しい風が吹きすさぶ。人はがらんどうの大通りだった。
ここは八天街だ!
「おお!」
俺は素っ頓狂な声を上げた。
「火端さん……。あの、弥生さんは明日探しましょうよ」
「え? なんで?」
「気付いてないようですね。火端さんはもう体力の限界だと思うのです」
「う……」
「それにここで一日くらい経っても、地獄の時は進まないようですから」
「……時差?」
「時差?」
「そうだよ時差だよ。ぷっ……あはははは」
笑いが治まってくると、俺は音星と大通りから横断歩道を通って、裏通りへと向かう。
今日はもう休もう。
音星の言う通りかもな……。
もう、体力が尽きたわあ。
ああ、疲れたー。
休まないといけない。
「音星……ありがとな」
民宿の玄関先までくると、俺は音星にお礼を言うと、音星はクスッと微笑んでいる。
俺はあのままでは、妹を探せなかったんだ。
大量の汗の掻き過ぎと走り過ぎで、疲れが限界になっていた。
そう思うと……俺は玄関先で、急にクラクラしたかと思うと、その場で崩れ落ちてしまった。
「ああ、大丈夫ですか? 火端さん!」
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