弥生?

14/17
前へ
/144ページ
次へ
 霧木さんは凄くカッコイイ人だった。 「あ、なあ。霧木さん。猫好きか?」 「え? ええ。好きだけど……なんで?」 「い、いや……ああ、猫好きかあ」  隣に座っている古葉さんが真っ赤な顔で、頭から湯気をだしているかのような口調で、霧木さんの顔をずっと見つめていた。  谷柿さんは、至っていつもと変わらない。 「ふむ。うちの会社には美人が多いが……こんな美人がいるなんてな。世界は広いな」 「おはようございます」  寝ぼけまなこの音星が廊下からキッチンに顔を出した。   「あ、新しいお客さんですね。私、音星と申します。少しの間よろしくお願いします」 「ふーん。あんた巫女さんなの? 霧木 陽子よ。よろしくね。それにしても、綺麗な人だねえ」  音星も早めに朝食を摂った。  俺は食べ終わると、急いでおじさんとおばさんと、朝食の後片付けをした。皿洗いをしていると、おじさんが俺のおでこをピンと人差し指で弾いてから、二カッと笑った。 「ぼうず。後は俺がやる。何やら急いでいるようだからな。さあ、巫女さんのところへ。行った。行った」  蛇口を捻って、後ろを向くと音星が廊下で身支度をすまして待ってくれていた。
/144ページ

最初のコメントを投稿しよう!

29人が本棚に入れています
本棚に追加