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霧木さんは凄くカッコイイ人だった。
「あ、なあ。霧木さん。猫好きか?」
「え? ええ。好きだけど……なんで?」
「い、いや……ああ、猫好きかあ」
隣に座っている古葉さんが真っ赤な顔で、頭から湯気をだしているかのような口調で、霧木さんの顔をずっと見つめていた。
谷柿さんは、至っていつもと変わらない。
「ふむ。うちの会社には美人が多いが……こんな美人がいるなんてな。世界は広いな」
「おはようございます」
寝ぼけまなこの音星が廊下からキッチンに顔を出した。
「あ、新しいお客さんですね。私、音星と申します。少しの間よろしくお願いします」
「ふーん。あんた巫女さんなの? 霧木 陽子よ。よろしくね。それにしても、綺麗な人だねえ」
音星も早めに朝食を摂った。
俺は食べ終わると、急いでおじさんとおばさんと、朝食の後片付けをした。皿洗いをしていると、おじさんが俺のおでこをピンと人差し指で弾いてから、二カッと笑った。
「ぼうず。後は俺がやる。何やら急いでいるようだからな。さあ、巫女さんのところへ。行った。行った」
蛇口を捻って、後ろを向くと音星が廊下で身支度をすまして待ってくれていた。
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